Q&A
費用が安いだけで自己破産を依頼する弁護士を選んでよいでしょうか?
1 費用だけで弁護士を選ぶことはおすすめしません
自己破産をトラブルなく円滑に進めていくためには、弁護士に依頼することが重要です。
もっとも、自己破産を依頼する場面では経済的に困窮していることがほとんどなので、「できるだけ費用を節約したい」と考えるのは自然なことかもしれません。
ただし、「設定されている報酬額」だけで弁護士選びをすることはあまりおすすめできません。
2 弁護士の対応能力は報酬額だけで計ることは難しい
自己破産の弁護士費用には、上限額などの決まりはありません(かつては、日本弁護士連合会(日弁連)が基準報酬額を定めていましたが、現在は廃止され、それぞれの弁護士が自由に設定することが原則となっています)。
そのため、実際の弁護士費用は様々です。
弁護士事務所によっては、「依頼人のために」弁護士費用が低く設定されている場合もあります。
「社会正義」を実現することを職業的使命とする弁護士とっては、弱者救済、被害者救済は当然に取り組むべき課題です。
そのため事案によっては、「困っている依頼人を支援する」ことが優先される場合もあります。
さらに、その分野の業務に精通していれば、他の事務所よりも低いコストで十分な業務を行える体制が整っていることもあります。
一方で、「他の事務所では対応できない難しい事件でも対応できる分、弁護士費用が高い」ということもあるかと思います。
以上のように、自己破産への対応能力は、設定されている報酬額だけで計ることは難しいことが多いです。
「弁護士費用がいくらか」ということよりも、「なぜその報酬額なのか」ということに注目した方が、よい弁護士を見つけられる場合が多いでしょう。
3 自己破産に強い弁護士の見つけ方
自己破産は、債務者の方にとっては今後の人生を左右させる重大な出来事です。
それだけに、「安心して」「信頼して」任せることのできる弁護士を探すことは重要になります。
では、費用面以外で、自己破産に強い弁護士・得意な法律事務所はどのように選べばよいのでしょうか。
⑴ インターネットで自己破産の実績等を確認
まず、弁護士事務所のウェブサイトで示される情報をチェックするという方法があります。
ウェブサイトでは、自己破産の実績があるか、解決事例が豊富か、費用が明確か等を確認します。
なお、知人に弁護士を紹介してもらうというケースもありますが、その弁護士が「自己破産に強い」かどうかは分かりませんので、慎重に判断する必要があります。
⑵ 直接無料相談に行って話してみる
ウェブサイト等で自己破産を依頼できそうな弁護士が見つかった場合、直接会って相談してみることがとても大切です。
最近では、債務整理の相談を無料で行っている弁護士事務所もあります。
「相談をしたら必ず依頼しなければならない」というわけではないので、無料相談を上手に利用することが、「良い弁護士に出会う」近道ともいえます。
実際の相談の場面で、重視すべきポイントとしては次の点を挙げることができます。
- ・弁護士が直接相談に応じているか
- ・不安に感じていること、わからないことについて丁寧に説明してくれるか
- ・「都合の良い話」だけでなく「デメリット」についても説明してくれるか
- ・「弁護士費用」についてわかりやすく説明してくれるか
- ・事件の見通しや処理方針について具体的に説明してくれているか
- ・相性が合うか、話しやすいか
自分の将来を決める手続きを任せるのであれば、「依頼人の分からないことや不安なこと」に対して、丁寧に説明する弁護士を選んだ方が安心です。
デメリットを事前に説明・告知する、弁護士費用についても事前に説明してくれることも大切です。
また、自己破産事件の経験が豊富な弁護士であれば、適切な見通しについても説明ができると考えられます。
事件の見通しを正しく立てるためには、相談前の準備も非常に重要です。
相談前に依頼人(相談者)が準備しておくべきことや、持参すべき資料などについて適切な指示があるかどうかも「安心できる弁護士」「信頼できる弁護士事務所」を選ぶ際の1つのポイントといえます。
⑶ 法テラスや自治体主催の無料相談では弁護士を選べない
「弁護士とはじめて接する機会」として「法テラスでの相談」や「お住まいの自治体が開催する無料相談会」を利用される方もいらっしゃると思います。
しかし、これらの相談では、通常は弁護士を選ぶことができません。
法テラス経由で弁護士を依頼するときには、法テラスが斡旋する相談時の担当弁護士に依頼するかどうかを決めるだけになります。
また、自治体主催の無料相談会では相談をしてもらった弁護士に事件を依頼できない場合もあります。
仮に「良い弁護士に相談できた」と感じたときでも別の弁護士を探さなければならないこともあります。
自己破産を依頼することが前提となっている相談は、最初から個別の事務所で相談した方がよい場合が多いと考えられます。
⑷ 事務所選びの際の注意点
自己破産の依頼をする事務所を選ぶ際のポイントは、その他にもあります。
「事務所選びのポイント」にてそのポイントを掲載していますので、事務所探しの際には、こちらのページもご覧ください。
4 自己破産の弁護士費用に関するQ&A
⑴ 自己破産の弁護士費用相場はいくら?
自己破産の弁護士費用は、一般的には20万円〜40万円程度です。
これは同時廃止か管財事件かによっても異なります。
管財事件の場合、手続きで行うべきことが増えるため、弁護士費用も高額になる傾向にあります。
また、自己破産では数万円程度が裁判所費用として別途かかります。
管財事件の場合、管財人費用が20万円〜50万円程度かかりますが、これは弁護士が代理人となることで20万円程度まで抑えることができます。
⑵ 自己破産の弁護士費用が払えないとどうなるか
上記のように、自己破産にかかる費用は高額になることもあります。
もっとも、これらが支払えない場合、自己破産をすることはできません。
弁護士への依頼後も弁護士費用が支払えない状態が続くと、弁護士も代理人を辞任せざるを得なくなってしまい、債務整理手続きも前に進められなくなってしまいます。
弁護士への依頼後は、弁護士が介入することで取り立てなどの督促が止まり、債権者への返済(支払)が一時的に不要となります。
これにより債権者への返済分を弁護士費用に充てられます(多くの弁護士は自己破産の分割払いを受け付けています)。
例えば、20万円の弁護士費用がかかる法律事務所に分割払いで依頼したとします。
分割払いは4回で、毎月5万円を支払うことになりました。
これまでは毎月の返済で7万円を債権者に渡していた、という場合、弁護士に依頼するとこの返済はストップします。
そうすると、これまでの返済額の7万円の中から、弁護士費用5万円を捻出して支払うことができるようになります。
なお、条件を満たせば、法テラスを利用することで弁護士費用をいったん立て替えてもらえます(あとで法テラスに分割払いで返すことになります)。
⑶ 弁護士費用の分割払いはできる?
上記のとおり、多くの弁護士は自己破産の費用の分割払いを受け付けています。
現在の収入や債務額を加味した上、無理のない分割支払いをすることで、自己破産が可能になることもあります。
5 「費用が一番安い」ではなく「自己破産に強い」弁護士へ
自己破産をはじめとした債務整理は「どの弁護士に依頼しても結果が同じ」ではありません。
人生の再出発ともいえる重要な出来事である自己破産を任せる弁護士選びは、「弁護士費用の額」だけで安易に選ぶべきではないといえます。
自己破産を依頼ときには、必ず弁護士と直接相談をする必要がありますので、面談でしっかりと話をしてから依頼するかどうかを検討することをおすすめします。
当法人にご相談いただければ、自己破産はもとより債務整理全般に強い弁護士が、適切なサポートを提供させていただきます。
債務整理に関する相談は原則として無料となっておりますので、借金問題を抱えている方や債務整理を検討している方で、少しでも疑問がある場合、お早めに弁護士法人心 八王子法律事務所にご相談ください。
管財人とはどういう立場の人ですか? 株で借金をしてしまったのですが自己破産できますか?